コラム

COLUMN

ディスプレイデザインが伝えるメッセージ

新宿伊勢丹/銀座三越

はじめに

伊勢丹や三越など、百貨店それぞれのブランドの個性やターゲットとする客層に合わせて考えられたディスプレイデザインは、ふと足を止めてしまう魅力があります。この記事ではバレンタインディスプレイについて、店舗デザインや装飾のポイントをご紹介します。バレンタインというと主役のショコラに注目してしまいますが、ディスプレイにも注目しましょう。百貨店やショコラブランドが演出したいバレンタインの世界観やデザイン性を感じることができます。

限られた箱の中で魅せるディスプレイデザイン

バレンタインシーズン中の新宿伊勢丹の地下通路にあるディスプレイデザイン。街に開かれた大きなショーウィンドウとは違い、限られた箱の中でデザインするための小ワザが詰まっていました。ショコラ、グラス、バックパックなど、それぞれのディスプレイには違った商品があり、小物の組み合わせ方や色のバランスで魅せ方を工夫しています。赤をメインカラーにして、ショコラやパッケージがアクセントカラーになって全体を調和し、派手なデザインな中にも洗練された印象を感じさせます。

こちらはイタリア発祥のシェービングブランドである「Proraso(ポロラーソ)」のギフトセット。クラシカルながらも洒落のきいたパッケージは、男性のプレゼントにぴったりです。ポイントは、よく目を凝らすと見えるピアノ線のような細い吊り線。遠目から見ると宙に浮いたような動きを付けることで、目を引くディスプレイデザインになっています。

GIN-MITSU HEARTFUL FACTORY

銀座三越が開催した「GIN-MITSU HEARTFUL FACTORY」。バレンタインから春にかけて膨らむ、ドキドキやワクワクする気持ちを、「ハート」を材料にした不思議なファクトリーがフル稼働というコンセプトで展開されています。こういった現実にはない幻想的なコンセプトや世界観を楽しめるのも、バレンタインの魅力です。味覚や視覚などの五感を刺激する、銀座三越でしかできない体験や仕掛けがいっぱいありました。HEARTFUL FACTORYに変身した銀座三越のディスプレイがバレンタインシーズンを楽しくキュートに演出しています。

エントランスを入ると、天井高いっぱいにまである巨大なHEARTFUL FACTORYが登場!ボタンを押すとピンクのハートフルボールが、パイプの中を転がる仕掛けになっており、小さな子供から大人まで大人気でした。こうして子供も楽しめる仕掛けは、幼少の頃から「あの店で楽しい想い出を経験した!」という体験につながり、成長して大人になったとき、ゆくゆくはお店の顧客になり得るきっかけになります。

ミニマネキンが実際にスイーツを運んでいたり、注目をさせるようにポーズを決めていたり。アイデア次第で自由に形を変えることができるミニマネキンは、ディスプレイデザインにおいて大きなポイントにもなります。ショコラのパッケージの形は四角で直線が多いため、ミニマネキンによって曲線が交わってくると、ディスプレイ全体に動きを感じることができます。ときには、「クスッとする」ようなちょっとした遊びを取り入れたりするのもより効果的です。

カラーやモチーフで、ディスプレイに統一感を出す

バレンタインカラーを意識してコーディネートされたファッションディスプレイにも注目してみました。それぞれのディスプレイされる商品は違いますが、GIN-MITSU HEARTFUL FACTORYのマテリアルやモチーフを使用することで、百貨店全体の統一感を大切にしているのが分かります。

見つめてもらうことで伝わる「メッセージ」

ディスプレイデザインは商品のイメージやメッセージを伝える手段のひとつ。百貨店全体となって開催されたGIN-MITSU HEARTFUL FACTORYは、まさにVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の実践の場。VMDとは、視覚的な効果によって「楽しい!買いたい!」といった動機につなげる手法です。購入を検討しているターゲットに対して見やすく、買いたくなるようなディスプレイデザインが、視覚的に商品の魅力をより強くアピールさせます。モニターの中ではなくリアルなディスプレイデザインは、見つめてもらうことによって、「メッセージ」を伝え店舗として印象に残る場となります。

今回のコラムテーマ

新宿伊勢丹/銀座三越

新宿伊勢丹 東京都新宿区新宿3-14-1
https://www.isetan.mistore.jp/shinjuku.html

銀座三越 東京都中央区銀座4-6-16
https://www.mitsukoshi.mistore.jp/ginza.html