コラム

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体験型店舗の可能性:飲食店編

~飲食店+αで作る新しい飲食店の形~

はじめに

飲食店を訪れる主な目的は「食事」ではないでしょうか。自宅で作るのが難しいプロの料理が味わえたり、雰囲気の良い空間で食べる料理は格別です。しかし、食事以外にも近年飲食店において「レジャー性」や「非日常感」を求める人が増えており、飲食店を出店する際の重要な要素とされています。雰囲気の良い空間は「非日常感」を演出する要素となりますが、そこに「+α」を加えた飲食店の形が求められています。

特にZ世代やミレニアル世代では「モノ(商品、料理)」よりも「コト(体験、経験)」を重視する傾向にあると言われています。(参照1、参照2)現在では様々な飲食店がイベントを企画し、お客様に食事以外でも楽しんでもらえるような工夫をしたり、非日常を味わってもらえるようなサービスを提供しています。今回はイベントとしてではなく、ある体験に特化した「飲食店+α」のサービスを提供している店舗を「体験型飲食店」と呼び、普通の飲食店とは一味違った体験型飲食店をご紹介していきます。

体験型飲食店の特徴

日本中に飲食店は数多くあり、その中で繁盛店となる為には他店との差別化が必須となります。特に流行を作っていく「Z世代・ミレニアル世代」を取り込む事は差別化を図る上で重要となります。「コト」を大切にする彼らの世代はSNSなどを通じて情報を得る事が多く、何かに特化した体験型飲食店は写真だけでなく動画などでも発信されやすい為、彼ら世代に訴えかけるには最適な要素と言えるでしょう。また、アクティビティなどが楽しめる飲食店は飽きやすい子供も一緒に楽しめる為、子供連れのお客様にとって入りやすい店舗となるでしょう。体験型飲食店にする事により、これまで取り込めなかった客層にも訴えかける事が出来るようになります。

エンタメ体験×BBQ「GLAMOROUS SMOKED BBQ iburu」

横浜ワールドポーターズの屋上にあるエンタメ体験と屋外バーベキューを楽しめるのが「GLAMOROUS SMOKED BBQ iburu」です。屋外バーベキューだけでも体験型飲食店と呼べますが、このお店では「エンタメ要素」を取り入れています。様々なエンタメ体験を楽しむ事が出来る新しいスタイルの飲食店で、エンタメ体験の第一弾として「謎解き」コンテンツが用意されています。調理する手順を変えたり、店舗スタッフへ特定の質問をしながら謎を解いていく事で、普通のバーベキューとは一味違った体験が出来ます。

横浜の景色を一望しながらゆったりと食事を楽しめる「ソファエリア」や、みんなでワイワイ楽しめる「カジュアルエリア」が用意されており、目的に合わせた席選びが出来るのも特徴の一つです。家族や友人とだけでなく、会社のイベントなどでも使いやすい店舗ではないでしょうか。今後もバーベキューを更に楽しむことの出来るコンテンツが提供されていく予定となっている為、何度訪れても楽しい体験が出来るでしょう。

蕎麦×サウナ「恵比寿サウナー」

蕎麦×サウナ「恵比寿サウナー」

近年ブームとなっている「サウナ」を蕎麦居酒屋と掛け合わせた「新感覚居酒屋」として注目を集めているのが「恵比寿サウナー」です。「汗をかいて酒を飲む恵比寿の健康ランド」をコンセプトとし、完全個室で楽しめるサウナと蕎麦を中心に工夫を凝らした食事とお酒が楽しめるのが魅力です。サウナで「ととのった」後すぐにお酒を楽しめる為、お酒好きのサウナ愛好家に人気のお店となっています。また、長野県信濃町と共同で地方創生にも取り組んでおり、信濃町産の食材や長野県の日本酒などが楽しめます。

釣り×居酒屋「釣船茶屋ざうお」

釣り×居酒屋「釣船茶屋ざうお」

新宿や渋谷などの都心で「釣り」が楽しめる居酒屋として人気なのが「釣船茶屋ざうお」です。居酒屋というと大人が楽しむ場所というイメージがありますが、釣りが楽しめるこのお店はファミリー層からも人気があります。鯛やヒラメ、アジなど様々な種類の魚が大きな生簀で泳いでおり、釣り竿を借りて釣りが楽しめます。釣った魚はその場で調理してもらう事ができ、刺身や煮付けなど様々な料理が味わえます。大きな釣り船を模した座席も印象的で、店舗デザインの面でも特徴的なお店となっています。

足湯×カフェ「もみの湯」

足湯で癒されながら食事を楽しめるのが「もみの湯」です。カウンター席の足元にお湯が流れており、気軽に足湯体験が出来ます。オプションとして短時間のマッサージもあり、仕事の合間の気分転換として利用できるのも魅力の一つです。しっかり癒されたい方はヘッドスパやアーユルヴェーダなどの本格的な施術が受けられるスペースも用意されている為、疲労具合に合わせてメニューが選べるのも大きな特徴です。

プラネタリウム×カフェ「PLANETARIUM Starry Cafe」

羽田空港にある「プラネタリウム」が楽しめるカフェが「PLANETARIUM Starry Cafe」です。本格的なプラネタリウムシステムに加え、CGなども駆使した様々なプログラムが上映されています。羽田空港ならではのプログラムである「就航都市の星空」なども上映されており、他のプラネタリウムでは見られないようなプログラムが楽しめます。1プログラムの上映時間は15分程度の為、搭乗までの空き時間で楽しめるのも大きな魅力でしょう。展望デッキの近くにある店舗の為、飛行機に搭乗する予定の無い方でも利用できます。

落語×カフェ「らくごカフェ」

日本の伝統芸能の一つである「落語」をカジュアルに楽しめるのが「らくごカフェ」です。ドラマや漫画などの題材として人気のある落語ですが、本格的な寄席に行くのはハードルが高いと感じてしまうのではないでしょうか。そんな敷居の高いイメージのある落語を気軽に楽しめる為、落語初心者にも最適なお店です。

まとめ

食事を楽しむ場所である飲食店に「体験」という要素を加える事で「お店で過ごす時間」を楽しんでもらえるようになり他店との差別化に繋がります。ターゲット層を明確にし、その人達が求めている体験を提供する事で、より効率的な集客が期待できます。「レジャー性」や「非日常感」を取り入れる事で普通の飲食店では味わえないような体験を提供する事が出来るでしょう。

今回のコラムテーマ

~飲食店+αで作る新しい飲食店の形~

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店舗デザインには様々な仕掛けや工夫が散りばめられています。内装・家具・インテリア・建築など総合的に考えながら、目に見えるものはもちろん、空気感、匂い、温度などの目に見えない「シーンを語る」ような雰囲気づくりが大切です。STORE PALETTEでは店舗デザインをはじめとした様々な空間デザインについて独自の目線で執筆しています。