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日本が誇る伝統技術を店舗デザインに活かす

~仕上げ材から装飾品まで~

日本では古くから独自の文化が築かれてきました。釘を使わないで造り上げる「社寺建築」の技術や「世界最古の木造建築」など、日本独自の文化や技術の高さが海外からも評価されています 。

それらのような建築の内装仕上げで使われている素材たちも「日本が誇る伝統技術」の一部です。今回は、日本の伝統的な素材たちが、どのように店舗デザインにも活用できるのかを見ていきたいと思います。

日本には様々な伝統技術があります。日本で生まれた独自の技術や、海外から伝わった技術が日本の文化と混ざりあいながら進化してきた物など、そのルーツは様々です。

店舗デザインの中でも使いやすい「日本の素材」にはどのような物があるかご紹介します。

日本が誇る伝統技術を店舗デザインに活かす
左官・漆喰・土壁

店舗デザインの中で最も多く使われている日本の伝統技術は『左官』ではないでしょうか。和風な店舗デザインだけでなく、おしゃれなカフェやホテルなど幅広い場所で使われています。左官とは「壁や床などを塗る仕事・職人」であり、土や砂・セメント系の材料を塗り、鏝(コテ)を使い均していく作業の事を指します。

その始まりは縄文時代と言われており、左官職人が本格的に活躍し始めたのは飛鳥時代と言われています。左官は古くから活用されてきた技術で、日本建築で多く使われている『漆喰』や『土壁』などは左官の工法があるからこそ成り立っていると言えます。

世界にも左官のような塗り壁などは存在していますが、日本の左官技術は群を抜いており、世界中の注目を集めています。鏝を使って描く模様が表情豊かで美しく、デザイン性や技術力が高いのが特徴です。

壁紙や木材とは違い、壁の広い面などでも継ぎ目なく施工が出来る為、一体感のある綺麗な面に仕上げる事が可能です。

しかし、職人による手作業という事もあり、壁紙などに比べて時間が掛かり、費用も高くなってしまいます。また、実際に作業をする職人の技術力によって仕上がりに差が出てしまう事も注意するべき点と言えるでしょう。

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和紙

和紙の元となる紙は、古代中国から日本に伝わり、日本独自の素材や製法を取り入れながら『和紙』へと発展しました。平安時代頃から、貴族を中心に「襖・障子・屏風」として使われるようになりました。江戸時代には庶民の間にも和紙が広まり、家具や傘など様々な物に使われていました。

『日本の手漉き(すき)和紙技術』として「ユネスコ無形文化遺産」にも登録されており、和紙の技術は世界的にも広く認知されています。和紙は薄く、光を柔らかく通す特性がある為、古くから行燈(あんどん) などに使われてきました。

現代では、照明器具のシェードとしても幅広く使われており、店舗空間にも取り入れやすい素材の一つと言えるでしょう。また、和紙には目に見えない穴がたくさん空いており、普通の紙に比べて通気性が高いのも特徴です。

調湿性にも優れていたり、シックハウス症候群の原因となる物質を排出する事も無い為、壁紙としても人気の素材です。繊維による独特の凹凸により綺麗な印影が映し出され、壁面を美しく演出します。不特定多数の人が訪れる店舗などでは、破れてしまう可能性が高くなり、その都度張り替えるには費用が嵩んでしまうので注意が必要です。

そんな和紙の代替品として活用できる『ワーロンシート』という素材もあります。和紙を塩化ビニール樹脂でラミネートする事により、和紙の柄はそのままで、破れにくくなっています。また、大量生産が可能な為、手漉き和紙に比べて価格も安く、取り入れやすい素材です。

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ワーロンシート
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織物

日本の伝統工芸品の一つである『織物』も店舗空間を彩る要素として活用されています。織物というと『西陣織』が有名ですが、伝統工芸品として経済産業大臣の指定を受けた織物は全国各地に38種類存在します。

古くから着物や帯に使われてきた織物ですが、現在では壁紙や家具の張地などでも使われています。壁紙として使用される前提で販売されている織物の多くは「不燃・準不燃認定」にも対応しており、店舗空間の様々な場所で安心して使えるようになっています。

また、煌びやかで豪華絢爛な素材や色使いは、見る角度や光の当て方により表情を変え、高級感のある空間を演出します。

「綿・絹・麻」などの自然由来の素材を使用している為、一般的な壁紙などに比べると価格が高くなってしまう事がネックとなるかもしれません。しかし、本物の織物にはそれに見合う価値があると言えるでしょう。

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染物

日本の伝統的な染物というと『藍染』が有名ですが、その他にも『友禅染・柿渋染め、草木染』など数多くの伝統的な染物があります。

店舗空間で使用する場合、店頭に掲げる暖簾などに使われるのが多くみられますが、店内の壁面や天井の仕上げ、パネル状にして壁面に飾るなど装飾品としても活用できます。

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組子細工

『組子細工』とは「釘を使わずに木を組み上げ、幾何学的な文様を作り上げる木工技術」の事を指します。その文様は、シンプルでありながらも存在感のある美しいデザインが特徴です。組子細工の歴史は古く、飛鳥時代から社寺建築の欄間(らんま) や建具の一部として使われてきたと言われています。

組子の隙間から優しく漏れる光も特徴的で、天井や照明器具に設置する事で文様の影が優しく映し出され、柔らかで暖かな空間を演出する事が出来ます。

基本的には同じ柄が連続して続く組子が多く見られますが、柄の違う組子を組み合わせる事で、絵画などとは一味違う「アート」としても店舗デザインに取り入れる事ができます。

組子細工も他の伝統技術と同じく、職人による手作業で作り上げていきます。その為、受注生産の物が多く製作期間も長くなってしまうので注意が必要です。また一つ一つ手作業となる為、その分費用も高くなってしまいます。

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網代(あじろ)

『網代(あじろ)』とは「木や竹、草などの植物を薄くスライスし、それらを編み込んで作り上げた物」の総称です。その始まりは縄文時代で、籠や笠などに使われていたと言われています。

編み方によって様々なデザインを作り出す事が出来る為、店舗デザインでも活用できる伝統技術の一つです。それらの違うデザインを組み合わせる事で、より特徴的な店舗デザインになります。

網代は主に天井で使われる事が多く『網代天井』と呼ばれています。天井だけでなく、壁や建具などでも使われ、編み込む事によって生まれた凹凸により立体感のある面に仕上げる事が出来ます。

そこに間接照明を当てる事で、より一層陰影が際立ち、独自の質感を演出します 。手作業で編み込む網代は、一枚当たりのサイズに上限があり、天井などの広い面で使う場合には継ぎ目が出てしまいます。

それを隠すために『竿縁(さおぶち)』と呼ばれる棒状の部材を取り付ける必要がある為、天井や壁面をスッキリ見せたい場合などには向いていない素材でしょう。反対に、グリッド状や長方形に区切る事をデザインの一部として活かす事も可能です。

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タイル・瓦・煉瓦(れんが)

タイル・瓦・煉瓦は、飛鳥時代に朝鮮半島から伝わり、日本独自の発展をしてきました。当時の社寺建築の屋根に瓦が使われた事が始まりで、現在のように壁や床などには使われる事は無かったと言われています。

また、当時は「タイル」という名称は使われておらず「化粧煉瓦」や「貼付煉瓦」など様々な呼称で呼ばれていました。木造建築が多い日本では、煉瓦を用いる事は少なく、そこから長い間あまり発展をしてきませんでした。

それらの煉瓦が「タイル」という名称に統一された大正11年(1922年)以降、日本でもタイルを取り入れた建築が増えていきます。

『美濃焼』で有名な岐阜県多治見市や『瀬戸焼』で有名な愛知県で、伝統技法を活かしたタイル製造が盛んになってきました。現在ではこれら二つのエリアだけで、国内生産の90%を占めると言われており、タイル生産発祥の地となっています。

現在では様々なデザインや素材を使ったタイルが製造されており、屋内外の場所を問わず幅広い用途で使われています。安価な物も多く、現代の店舗デザインでは取り入れやすい素材の一つと言えるでしょう。

日本には世界に誇れる伝統技術が多く存在します。専門の職人による手作業で作られている素材も多く、他の工業製品に比べると費用が掛かってしまう事もあります。

しかし、職人が持つ伝統技術によって作り出された製品は美しく、店舗空間をより華やかに演出してくれます。そんな「日本の誇る伝統技術」を店舗デザインにも活用してみてはいかがでしょうか。

~仕上げ材から装飾品まで~

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店舗デザインには様々な仕掛けや工夫が散りばめられています。内装・家具・インテリア・建築など総合的に考えながら、目に見えるものはもちろん、空気感、匂い、温度などの目に見えない「シーンを語る」ような雰囲気づくりが大切です。STORE PALETTEでは店舗デザインをはじめとした様々な空間デザインについて独自の目線で執筆しています。

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